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◆ ペンギンの身体 1  ◆

●体長

 鳥類の体長を記する場合、通常(つうじょう)、体をのばした状態で、くちばしの先から尾または肢(あし)の先までの長さを言う。
  ペンギンの体長も一般にその長さが表記(ひょうき)されている。
実用的(じつようてき)には二足歩行(にそくほこう)をするペンギンの、立った状態の地上から頭のてっぺんの高さの方がいいと思うのだが・・。

 通常、最大のペンギンであるエンペラーペンギンの体長は120cmとされているが、二本脚(にほんあし)で立った状態の「身長(体高(たいこう))」は90cmくらいである。
  各ペンギンは、首の伸び縮みの割合が違うので、体長から身長を計算するのはむずかしい。
ペンギンの本や図鑑では、「体長」のみが書かれているが、首の伸び縮みの割合が違いすぎるので、研究の場では、「体長」を用いることはほとんどない。


●身体の大きさ

 大まかに言って、南極に近いほど、すなわち気温の低い地域のペンギンは体が大きく、温帯(おんたい)のペンギンほど体が小さい傾向(けいこう)にある。
(ペンギンに限らず、鳥類の平均的な大きさは、赤道から極地(きょくち)へ行くにつれて大きくなる。)

 同じような体型(たいけい)の場合、体が大きくなるほど、それに対する体表面積(たいひょうめんせき)の割合(わりあい)がへっていく。
 体表面積が広いほど体温を放散(ほうさん)しやすくなる。地球上で最も過酷(かこく)な極寒(ごっかん)の地で生息するエンペラーペンギンが飛びぬけて体が大きいのも理(り)にかなっている。
 と、言いたいところなのですが、ペンギンはそういう傾向からはずれる例が多いのが現実だったりします。たとえば、赤道直下(せきどうちょっか)のフンボルト属よりも、オーストラリアあたりのコガタペンギンの方がはるかに小さく、キングペンギンよりも寒冷地で繁殖するアデリー属の方が、ひとまわり以上も身体は小さい。

 また、フリッパーは平らで空気中に触れる面積が大きく熱の交換(こうかん)がされやすい。エンペラーペンギンは他のペンギン種に比べ、からだに対するフリッパーの大きさは大きい。
 エンペラーペンギンは、キングペンギンよりも体長が30cm近くも大きいのに、フリッパーの大きさは同じ程度である。もっとも暑いところに住むガラパゴスが、からだの大きさの割にもっとも小さいフリッパーをもつ。
 熱放散(ねつほうさん)の点からみたら、エンペラーが最も小さく、ガラパゴスがもっとも大きくてもよさそうですが、現実(げんじつ)は逆になっている。

 ただ、フリッパーの場合は、熱放散の役割(やくわり)もあるにはあるけど、水中でのスクリューの役割も大きく、そういう意味では、最大種のエンペラーが大きなフリッパーを持っているのもうなずけます。
人間が学問で、スパッと割り切れるほど、自然は機械的にはできていない証拠(しょうこ)でしょうか。


●骨格

 図のように、ペンギンは陸上では、直立二足歩行(ちょくりつにそくほこう)をしている。
  ペンギン類が発生(はっせい)したのは、1億4千万年前~6千万年前、現ペンギンの発生は4680万年前と考えられており、すでに直立二足歩行をしていたのである。
鳥類はすべて二足歩行だが、人間と同じように「直立」しているのはペンギンのみである。
  最初の直立二足歩行をした霊長類(れいちょうるい)があらわれたのは、たかだか400万年前であるから、良く考えたらペンギンは、我々の大先輩(だいせんぱい)である。   ペンギンは水中を飛ぶ鳥であり、水力学的に、理想的な体型をしている。

 水鳥は水面に浮かんで水を足ひれで「かく」ために、他の鳥類よりも足が後ろ側についている。
そのため陸上ではやや直立気味(ちょくりつぎみ)になる。
ペンギンはその極み(きわみ)で、水中でスピードが出せて、また、すっきりした体の線をさまたげないように、足は尾の近くへ移動している。
そのため、陸上ではほぼ直立の姿勢(しせい)になる。

 骨は他の鳥類とちがい、密度(みつど)が高く重い。
空を飛ぶことをやめたので、骨を密度高く丈夫(じょうぶ)にでき、重いことで潜水にも適(てき)している。
  また、他の鳥類のように骨が中空(ちゅうくう)だと、水中で羽ばたいたときに、簡単に折れてしまう可能性もあり、数百メートルを潜るペンギンの身体を、水圧(すいあつ)から守るためにも、密度が高く丈夫な骨格(こっかく)が必要とされる。


ペンギンの骨格図

 二足歩行する身体を支える 「ふしょ骨(こつ)は極端(きょくたん)に丈夫にできており、化石として残るケースが多い。
  ふしょ骨は、踵(かかと)と足の指をつなぐ「ふ骨」と「蹠(しょ)骨」が一つにつながった骨である。
  ペンギンの身体で最も特徴的(とくちょうてき)なのは、なんと言ってもフリッパーである。
羽の部分が完全に一枚の板状(いたじょう)になり、関節(かんせつ)部分も固定(こてい)されている。
  水中を飛ぶことを選択(せんたく)したペンギンの翼(つばさ)は、完全に「フリッパー」に姿を変えた。
  そのフリッパーを支える「上腕骨(じょうわんこつ)も他の鳥類に比べ短く丈夫である。

上腕骨・フリッパー・ふしょ骨の3つが、ペンギンたる特徴のある骨である。

ふしょ骨

「ふしょ骨」は、普通にはパソコンで
出せない文字で、左のように書く。


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