トップ > 生活 > ペンギンの怪力

◆ ペンギンの怪力 ◆

ペンギン、特にエンペラー、キングといった大型のペンギンのパワーは半端ではない。
ここでは、二つの記述を引用しよう。 《「トータルペンギン」より転載(てんさい)。》


 八日の晩に大きなエンペラーペンギン狩り(かり)がおこなわれた。
エンペラーペンギンをとらえることは容易(ようい)なことではない。
かれらは、その足も翼(つばさ)もとても強力である。
そのうえ、頭上(ずじょう)に人間が乗っていても動くことができる。
もちろんかれらを棍棒(こんぼう)で倒すことはできるが、それでは標本(ひょうほん)を傷つけてしまうだろう。
適切な方法は、しっかりとかれらを抱き締め(だきしめ)、頭蓋骨(ずがいこつ)の一番下にペンナイフの刃を突き刺す(つきさす)、という優しい一撃(いちげき)を与える科学的なやり方である。

 だが、暗闇(くらやみ)のなかでの混乱(こんらん)については、ここで説明するよりも想像してもらったほうがよいだろう。
みんながこの鳥を捕まえようとし、この力強い動物は四方八方(しほうはっぽう)に走る。
報告によれば、しばしばほかの人間をペンギンだと思ってつかまえようとしたという。
そして目あての獲物(えもの)の乱暴なダッシュのおかげで、地面に叩き(たたき)つけられた者は一人や二人ではなかったようである。
必要なだけの標本を殺すまで、夜遅くまでかかってしまった。 そして一行は、しもやけだらけになって帰還(きかん)した。
(ロバート・スコット『発見の旅』)


ダンディーを母港(ぼこう)とする捕鯨船(ほげいせん)、バレーナ号の五人の乗組員がエンペラーペンギンを傷つけずにやっつけて氷の上に押さえつけようと試みた。
かれらはこの仕事にはまったく向いていなかったらしく、まるで九柱戯のピンのように倒された。
(男たちは捕鯨者であり、肉体的な格闘(かくとう)に慣れていたと考えられるが)
  しかし、ついにかれらは、二本の革(かわ)ベルトを鳥のからだに巻きつけることに成功した。

 そして立ち上がり一息ついた。
ペンギンもおなじように立ち上がって一息つき、ベルトを引きさいた。
力の強いこの動物は、最終的にロープでしばりあげられた。
ところが船上に引き上げられると、かれは翼(つばさ)の一撃で船の飼い犬をノックアウトしてしまったのである。
(ロバート・クッシュマン・マーフィー提供の記事)


【このページの先頭に戻る】

カウンター