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◆ 人間とペンギン ◆

 人間とペンギンの、長い関わりの歴史のなかで言えば、ペンギンが人間に愛され、大事にされる対象(たいしょう)になったのは、ごく最近に過ぎないだろう。
  おそらくマゼランやフンボルトだと思われるが、つい百年ほど前までは、南米(なんべい)の沿岸(えんがん)あたりでは、ペンギンをペットにしていたこともあるようだ。

 しかし、ほとんどは、北半球で絶滅(ぜつめつ)させてしまった元祖(がんそ)ペンギンの「オオウミガラス」同様、利用する対象であった。 ペンギン自体の肉も食用とされたが、それ以上に卵が美味(びみ)で肉以上に好まれていた。

 1968年までは、ケープペンギンの卵の採集(さいしゅう)は合法(ごうほう)でさえあった。
  食用の他、ペンギンからとれる油も「ペンギンオイル」と呼ばれ、重用(ちょうよう)された。
  南米ではグアノが掘られ続けてきた。グアノとは、数千年にわたって積み重なってきた、ペンギンの糞(ふん)や死骸(しがい)などの土層(どそう)で、長年肥料(ひりょう)として重宝(ちょうほう)されてきた。

 その地では、ペンギンはグアノを掘って巣としていたのだが、人間がほとんど掘りつくしてしまい、仕方なく岩の上や、穴に巣を作るようになった。


 保護の対象となった現在でも、タンカーからの重油流出(じゅうゆりゅうしゅつ)による、ペンギンの大量被害(ひがい)などは頻繁(ひんぱん)に見られる。
  また、南極上空のオゾンホールや大気汚染(たいきおせん)、ニュージーランドなどでは、人間が持ち込んだ帰化(きか)動物(イヌ・ネコ等)による補食(ほしょく)もふえている。
  卵の採取(さいしゅ)も現在は禁止されているが、それでもなお、大量にとられて続けているという現状(げんじょう)もある。

 絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)(EN)に指定されているキガシラペンギンをはじめ、将来の絶滅が心配されている種も多いが、意外に、南極に生息する種など、数を増やしている例も見られる。

  世界中の動物園での飼育(しいく)で、絶滅が心配される種の繁殖も順調に進んでいる面もある。
  ただ、野生状態のペンギンの置かれている状況が、深刻 (しんこく)になってきているのはまちがいない。


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